2008年04月28日

第14回アレルギー総会中央講演会に出席して

     第14回アレルギー週間中央講演会への感想
及び
日本アレルギー学会・厚生労働省への提言

久我山アレルギー患者の会発起人
今回の基調演説の演者は4名で、何れも現代日本におけるアレルギー疾患治療について中枢的な立場にある学者である、とのことでありました。しかし、4者いずれにも共通であったことは、アレルギーの原因を究明せずに疾患が起きるとその都度、薬物(主としてステロイド)による対症療法をするということに終始していた点であります。なぜアレルギーが起きたかの原因を究明し、そしてその原因を根本的に治癒するための治療を行うことが欠落しており、従い、根本的な治療を全員が避けているのではないか、という疑問が沸々と湧いてこざるを得なかった。
プリックテスト(スクラッチテスト)や血液テストによるアレルゲンの特定がまずはじめに行われ、特定されたアレルゲンについて免疫療法(減感作療法)による治療によって久我山アレルギー患者の会の900名を超える患者たちはこの15年間に全て快方に向かっています。一刻も早く、このような治療が日本の何処ででも可能となるよう望んで止みません。
小生が提示した、WHOがアレルギーの根本治療法と認定していると聞くアレルギー免疫療法がなぜ日本で普及しないのか、否、普及させないのか、との質問がパネルディスカッションでとりあげられました。しかし、それに対する演者の回答は、@日本にはスギ花粉以外の抗原がすくないこと、A各種の抗原の標準化に莫大な費用と時間がかかること、B減感作療法はアナフィラキシーの危険があり、且つ効果のある場合でもその治療効果に1年半から2年という長時間がかかること、C減感作療法よりも安全で効果のある吸入ステロイドが開発されていること、D減感作療法は医師にとって採算に合わない(保険点数が低い)、などという理由でアレルギー免疫療法は否定的に受け取られました。
これらについて、小生の考えは次により反駁しつつ、現在苦しんでいるアレルギー患者を一刻も早く救うべく、WHO認定の根本治療法であるアレルギー免疫療法を広めるための医療改革の実現に向けて、厚労省および医学界の勇断を求めます。
そもそも、日本ではWHOがアレルギーの根本治療法と認定しているアレルギー免疫療法の代わりに根本療法ではない対症療法としての薬物療法(吸入ステロイド)が有効な治療法として一般に普及しておりますが、この治療法はアレルギー(気道炎症)を抑えるという根本治療ではなく、彌縫的な対症療法であることを学者が理解していない乃至理解したくないと思われることに最大の問題があります。
まず、上記@の問題については、日本で抗原が少ないのは厚生労働省、医学界がこれまで抗原の開発を怠ってきたためであり、そのツケが多くのアレルギー患者が苦しむ結果となっているのです。これを即効的に解決する方法があります。それはアメリカから標準化された抗原をそっくり輸入することです。これを政府によって行い、全国に保険適用レベルで実施することです。アメリカでは既に標準化されたダニ、ネコ、イネ科の草の花粉の抗原ができており、これらによってアレルギー免疫療法が普及しております。小生は10年を超える米国滞在中ぜんそく患者としてこの恩恵に浴しておりましたが、帰国した途端にこの治療を断たれ、死の恐怖に苛まれました。さいわい、日本で唯一この治療法を行っている東京世田谷区の久我山病院を見つけることができ、その治療で健常者と変わらぬ今日の生活を取り戻しております。
政府、学者はアメリカの抗原は日本人に合うか検証が必要と言うでしょうが、これは偏狭な国粋主義的な考えに基づいた捉え方ではないでしょうか。アメリカでは多民族国家を前提とした米国民全てに適用できるものとしての標準化抗原を開発しており、小生自身、アメリカから輸入された34種類の抗原によって治療効果を得ております。ここ久我山病院のアレルギー患者はすべて長屋宏医師のもとでアメリカの標準化された抗原によって治療効果を実証しております。久我山病院ではこの治療法で過去15年間に900名を超える患者がこの治療の恩恵に浴し、この間アナフィラキシーなどのショックは一度も起きていないことをお伝えいたします。アレルギーに苦しむ患者のために一刻も早く抗原輸入を政府レベルで実施し保険適用していただきたい。日本での独自の標準化抗原の開発のための時間をかけている間にアレルギー患者は根本治療から見放され、一時的、彌縫的な薬物による対症療法に放置され続けることは日本のアレルギー学界の歴史にとって禍根を残し続けることになるということに気づいていただきたいと思います。
また、Aについては、確かに毎週2回をベースに2年、3年と治療を続けることを要する場合が多く、患者の病歴によっては8年治療を続けることによって健常者の状態を回復したという例もあります。しかしこのような長期を要するケースとは逆に、患者の中には、生まれてから40年間重篤な喘息患者であったにもかかわらず、治療を開始して1ヶ月で改善し生まれてはじめて健常者を実感したという症例もあり、必ずしも全ての患者が長期治療を要するわけではないということを強調したいと思います。いづれにしても、この治療法は、気道炎症の原因を取り除くという、今日わかっている唯一の根本治療法であるということであります。WHOがアレルギー免疫療法をアレルギーの根本治療法と認定している所以のところであります。
次にBについてですが、前述のとおり、少なくとも久我山アレルギー患者の会の900を超えるメンバーがこの16年間にアナフィラキシーを起こしたという例はないと聞いております。今回の演者の1人が舌下減感作を安全な治療法として推奨しておりましたが、むしろ、この方がアナフィラキシ−の危険が大なのではないかと思いました。なぜなら、減感作療法では微量の抗原で治療が進むのに対して、舌下減感作では一度に大量の抗原を使用すると聞いているからです。そのような危惧から、喘息患者に対しては舌下減感作を行わない人が殆んどと聞いております。
更にCについてですが、ステロイドは有効な治療法といいますが、これは一時的に気道炎症を抑えるだけで気道の過敏性の原因そのものを減殺する効果はないのではないでしょうか。標準化されたダニを使用したアレルギー免疫療法によって持続する気道の過敏性が抑制されることは、多くの研究によって既に証明されていると聞いております。(長屋宏先生の著になる「日本のアレルギー治療は50年遅れている!」参照)
 最後に、Dについては、医学会がその気になれば保険点数はいつでも改正できるのではないでしょうか。我々、アレルギーに苦しんでいる患者を薬漬けにするだけでなく、アメリカと同程度のアレルギー免疫療法という根本治療法を一刻も早く全国レベルで実現できるよう切に望みます。
 以下に私が作成した第14回アレルギー週間中央講演会の議事録を掲載いたします。

 第14回アレルギー週間中央講演会
場所 九段会館ホール
2008年2月23日

総合司会 :河野陽一先生/(財)日本アレルギー協会理事
開催挨拶 :宮本昭正先生/(財)日本アレルギー協会理事長



第一部 基調講演
基調講演T アトピー性皮膚炎の基本戦略――飯島正文先生(昭和大学医学部皮膚科教授)
“アトピー性皮膚炎をアトピー皮膚に戻そうよ!”
@アトピー性皮膚炎とは
 どんな病気 ?  なぜ起こる ?  治療方針は ?
アトピー性皮膚炎による疾患を治療して元のアトピー皮膚に戻すことが医師の仕事
今から10年前、アトピー性皮膚炎の治療では、何が問題とされていたのか
○ ステロイド外用剤は悪魔の薬!―――否
○ ステロイド拒絶症と医療不信 ―――それに便乗したアトピー商法/アトピービジネスの横行
A上原・大藤、Hanifin・Rajka、及び日本皮膚科学会の診断基準の紹介
Bアトピー性皮膚炎治療における問題点
・ アトピー性皮膚炎は「アレルギー」が全てか?
・ アトピー性皮膚炎は「バリア機能異常」が全てか?
・ アトピー性皮膚炎における「嗜癖的掻破行動」
Cアトピー性皮膚炎と角層細胞間脂質
・アトピー性皮膚炎患者の病変部皮膚では角質細胞間脂質(特にセラミド)が著明に減少している。
・アトピー性皮膚炎患者出では無疹部においても、正常コントロールと比較して角質細胞間脂質(特にセラミド)が有意に低下している。
Dアトピー性皮膚とはどんな皮膚?
 例えて言えば、鰐(出雲地方では鮫のことを鰐と言った。)を欺いて毛皮を剥がされた「いなばの白兎」状態である。
 −正常な毛皮の兎は、海水を浴びても、風に当たっても平気である。毛皮を剥がされた「いなばの白兎」にとっては、塩水も風も刺激となって苦痛である。大国主命の指示は、真水で洗う(清潔)+蒲の花粉(治療薬)=スキンケアであった。
Eアトピー性皮膚炎とアトピー性皮膚
    前者は病気であるが後者は病気ではない。
・ アトピー性皮膚とは、角質細胞間脂質、特にセラミドの低下により皮膚のバリア機能が障害された、先天性・遺伝性に生じた「乾燥肌・過敏肌」である。従って・アトピー性皮膚炎患者にとって・アトピー性皮膚とは、生理的な皮膚状態である。・アトピー性皮膚を基盤にして発症した皮膚炎=湿疹が・アトピー性皮膚炎(病気)である。
Fアトピー性皮膚炎の治療目標
アトピー性皮膚炎はどこまでなおせばよいのか?
→病的な・アトピー性皮膚炎の状態を(生理的な)・アトピー性皮膚に戻すことが治療の第一目標
 そして、適切なスキンケアによる・アトピー性皮膚のコントロール治療の最終目標
Gアトピー性皮膚炎治療における問題点
・ アトピー性皮膚炎は「アレルギー」が全てか?
→「アレルギー」が全てではない。体調、気持ち(神経質)などが影響する。
・ アトピー性皮膚炎は「バリア機能異常」が全てか?
→「バリア機能異常」が全てではない。ストレス解消策など。
・ アトピー性皮膚炎における「嗜癖的掻破行動」
→「嗜癖的掻破行動」は小児も例外ではない。
Hアトピー性皮膚炎の治療目標
 アトピー性皮膚炎はどこまでなおせばよいのか?
 →アトピー性皮膚炎の2段階治療戦略
  第一段階 病的なアトピー性皮膚炎の状態をアトピー性皮膚に戻すことが治療の第一目標(ステロイド外用剤、プロトピック軟膏,重層処置、教育入院)
  第二段階 適切なスキンケアによるアトピー性皮膚のコントロールが治療の最終目標(保湿薬、止痒薬、ストレス対策)
アトピー性皮膚炎に関する質問及びそれに対する回答
1.アトピー性皮膚炎の治療
  アトピー性皮膚炎とアトピー性皮膚に分けて、炎症がある場合には、まず短期決戦で適切な治療で湿疹があればまずそれを治す。そしてアトピー性皮膚の状態に戻すこと。それから保湿剤などで対処することになる。
パッチテストなどやってもだめでユーステスト=使ってみないとわからない。医薬品メーカーの作る尿素材よりも化粧品メーカーの作る尿素材による方が推奨され、これにより湿疹を治しスキンケアをすることをお薦めする。
2.アトピー性皮膚炎や喘息は遺伝するか
  なりやすい体質は遺伝するが、それが発現するかどうか、また後天的な刺激により出た場合の重症度は生まれた後の対処の仕方如何(スキンケア)で異なる。
3.ステロイドの副作用
  @塗り続けることにより体内に留まるということはない。90年代にこの懸念が各種の温泉治療その他の商売が氾濫した。
  A非常に有効であるが副作用はある。中等度・強力・最強なものまであるが、作用・副作用のバランスを踏まえて使用をすることになります。3日後、1週間後に様子を見るなど医師の監視下で行います。最悪の使用方は中等度のステロイド剤を長期間使い続けることである。
  B副作用のために絶対に使ってはならない皮膚病の例:たむし、水虫、いんきんなど
    顔には長期(6ヶ月以上)に使ってはいけない。白内障、緑内障の原因になる可能性あり。
基調講演U 食物アレルギーの対応について――向山徳子先生(同愛記念病院小児科部長)
@ 食物アレルギーの意義:食物を摂取することによって起こる体質的な過敏な反応。皮膚や消化器、呼吸器など全身に症状が出る。多くは原因となる食物を食べて1~2時間以内に症状が出るが、少し時間をおいて出る場合もある。
A 食物アレルギーの対応は自分の体にとって過敏な症状を起こす食物を食べないようにすること。子供の食物アレルギーは、年齢が大きくなるにつれて次第に改善する。少しずつ加工した食品から食べていくようにする。
B 食物アレルギーの頻度
  3歳以下の子供では約8〜10%、ただし年齢と共にだんだんと少なくなり、成人においては約2%とされている。
C 食物アレルギーの原因食品
わが国において頻度の多いものとして、卵、牛乳、小麦,そば、ピーナツなどがあげられる。魚介類、野菜、果物、肉類などによるアレルギーもある。
D 食物アレルギーが起こるしくみ
      体質と消化機能が大きく関係している。食することによって体内に吸収された分子が体にとって異物と判断されて、IgE抗体が作られ、その結果アレルギーの症状がおこる。
E 食物アレルギーの症状
最も多いのは皮膚症状であり、皮膚が赤くなり、かゆみやじんましん、湿疹などが出る。多くは食後30分〜1時間以内に起こる。
消化器症状では、吐き気、腹痛、下痢などの症状がみられる。
呼吸器の症状としては、せきが出て、ゼーゼーとした呼吸の状態になる。最も重い症状としては、血圧が下がって顔色が悪く、意識が朦朧とする状態=アナフィラキシーショックがある。多くは食後15分以内に起こる。
F 食物アレルギーの診断
医師による問診→血液検査・皮膚テスト→IgE抗体の量または食物経口負荷試験(原因アレルゲン診断のための最も信頼性の高い検査だが、アナフィラキシーショック症状を起こす虞あり)。
症状を予防する方法としては、原因となる食物を食べないようにする除去食療法が基本となる。
食物アレルギーに関する質問及びそれに対する回答
 1.一歳の子供が食物アレルギーのため食事療法と半年以上抗アレルギー薬を服用しているが副作用などの心配は?
 →抗アレルギー薬は大きく分けると2種類ある。一は症状にあわせてその症状をとる抗アレルギー薬と二は食事の前にアレルギー症状を起こさないようにする予防のための抗アレルギー薬がある。子供の場合はおそらく二の抗アレルギー薬を使っているのであろう。一年使用位では特に悪い副作用に結果することはないので、使用を続け症状の改善を待ってだんだん抗アレルギー薬の量を減らし様子をみるのがよいであろう。抗アレルギー薬は予防的な効果があるのでアレルギーが起きてから服用するのではなく、半年、1年と続けることによって効果が期待できる。
→アレルギーのある食物に対する食事療法としては、最初は加工食品から始めだんだんと加工していない生のものへと進んで行くのが良いでしょう。
2.学校給食への対応=対応血液検査で+3と出た食物について
 →どの程度たべられるかを医師に診断書なり指示書(共通のフォームはない)という形で書いてもらって提出すべき。
→ただ、+3といっても離乳食時は強い反応が出たとしても3歳位になると反応が変わってくるなど、年齢が進むにつれて変化するのでその考慮がいる。この辺は医師と相談の上で対応すべき。
3.乳幼児期に麻疹の予防接種で反応が出たとしても年齢が幼稚園児ぐらいまたは学齢期になるとアレルギー反応が弱まり接種を受けられるようになることもある。
4.カレーチャーハンお食べて30分後にアレルギー発作を起こし救急車で病院へ搬送された。毎回出るわけではない。
→毎回出るわけではないという点については、乳幼児については必ず出てもある程度の年齢に達すると常に反応が出るわけではなく、これは体調の変化に起因していることがある。激しい運動の後とか、風邪をひいていたために解熱剤を飲んでいたとか、頭痛薬を飲んだあととかは反応が強く出ることもある。ただ、同じもので何度も症状が出る場合には、それに合わせた注射や飲み薬もあるので、医師と相談することを薦める。従って、その場合場合の状況を医師に伝えることが重要である。


基調講演V.「花粉症治療の正しい理解と実践」
――増山敬祐先生(山梨大学医学部耳鼻咽喉科・頭頚部外科教授)
@花粉症とは=花粉によって起こる鼻炎、結膜炎
普通の風邪はウイルス感染故たいてい1週間くらいで自然に症状はなくなるが、花粉症では症状が花粉が飛び止むまで続く。
Aくしゃみ、洟水、鼻づまりといった症状の種類=生理的な防御反応
 味覚性鼻炎,化学性鼻炎、冷気吸入性鼻炎(スキーヤー鼻)、
花粉症は仕組みが異なり、花粉に対するアレルギーで起こる。
 花粉→抗体が産生→肥満細胞に付着→肥満細部が活性化→ヒスタミンやロイコトリエンを遊離→神経、分泌線,血管を刺激→花粉の侵入を防ぐためのくしゃみ反射、洟水、鼻詰まりとなる。この症状は花粉の飛散が終了するまで続く。
B花粉の飛散時期
 日本の花粉症の8割以上はスギ、ヒノキ花粉症であるがその飛散時期は、
スギ(1〜4月初旬)、ヒノキ(3月中旬〜5月連休)である。スギ花粉症の7割がヒノキにもアレルギーがある。そのほかにも花粉症の原因植物はあり、
イネ科のカモガヤ(5月〜7月)、キク科のブタクサやヨモギ(8月〜10月)
北海道の花粉症はシラカバでありスギはごく一部に限られる。
C花粉症の診断
 花粉の飛散時期
 スギ(1月下旬〜4月初旬)、ヒノキ(3月中旬〜5月連休)
スギ花粉症ではその7割がヒノキにもアレルギーがある。→この時期に鼻炎と結膜炎の症状が出る。日本の花粉症の8割以上はスギ・ヒノキの花粉症です。
そのほかの代表的な原因主として、イネ科のカモガヤ(5月〜7月) キク科のブタクサやヨモギ(8月〜10月)などがその代表である。なかには多くの花粉に反応する人もいる。
また地域によっても花粉の種類は異なり、北海道の花粉症はシラカバでありスギはごく一部の地域に限られている。
診断の必要条件は花粉の飛んでいる時期に症状があること→次に原因となる花粉の検査をする→1は皮膚テスト(皮膚が赤く腫れるのをみる)→次に血液検査でその花粉に対する抗体=IgE抗体が血液中にあることを調べる。
D花粉症のセルフケアと治療
セルフケア
 検査で花粉症の原因となる花粉がわかったら、症状が悪化しないようその花粉をできるだけ吸い込まないようにすることがセルフケアとして大切である。→マスク・メガネの着用は鼻や眼にはいる花粉の量を減らす。外出時には衣服の素材にも注意が必要(特にウールは花粉がつきやすい素材、帰宅時には家の中に花粉を持ち込まないように玄関先で衣服についた花粉を落とし、体に付着した花粉は、うがい、洗顔、洗眼で洗い流す。洗眼には防腐剤無添加人工涙液がある。)
薬物療法
 次に、薬物療法では、症状が少しでも出始めたらまたは症状が出てなくとも飛散が始まったら治療を開始する。→これは初期療法といって飛散ピーク時の症状悪化を和らげる効果がある。眠気の少ない第2世代の請う抗ヒスタミン剤がよく使われるが点鼻ステロイド薬も早めに併用するとより効果的である。大切なことは飛散が終了するまで継続することである。
根本療法としては免疫療法(減感作療法)がある。
 これは体に花粉蛋白を少しずつ量を増やしながら注射することによって、花粉に対するアレルギー反応を弱めていく方法である。少なくとも2〜3年の治療が必要で、60〜70%に有効でうまくいくと治してしまう可能性もある。ごくまれに副作用があるので専門医での治療が必要である。
最後に、手術療法として」レーザー手術なども行われている。
     粘膜のごく表面を焼いてアレルギー反応を弱めようという試みですが、花粉の飛散量などによってもその効果は変わるので評価は難しいようである。また根本療法ではないので再発もあることを認識しておく必要がある。
質問及びそれに対する回答
1.OTC(?)という薬局で購入した花粉症の薬を継続して服用しているが副作用は?
 →これは佐藤製薬ら出ているものであるが、これは風邪用の鼻炎薬であり短期間使用するためのものである。花粉症はスギ花粉の場合3ヶ月位続くわけであるが、風薬をしょっちゅう飲むと、この薬の成分は所謂第一世代の抗ヒスタミン剤であり、抗コリン作用といって劇的に鼻水は止められるが血管収縮の作用があるが長期に使用すると緑内障といった副作用がある。従って、1週間位使用して治らないようであれば医師に相談するようにと書いてあると思う。現在病院で使用されているCTOCと言われている第二世代の抗ヒスタミン剤は眠気の少ないものがあるので、担当の医師に相談されて対応することを薦める。いずれにしても、市販の薬を長期に亙って使用することは避けるべき。
2.花粉症のレーザー治療の効果は?
  →鼻の粘膜の表面を焼くことによって抗原の浸入ができるだけ抑えられる。これによりアレルギー反応を抑えるという治療法であるが、ただ、根本的な治療法ではない。時期的には前の年の11月か12月にこれを行って次の年の花粉飛散に備えるというもの。花粉の飛散の程度による比較もはっきりしていない。また、あまり例がないのと、ステロイド剤の効果との比較もないし、1回やってその効果が継続するという記録もはっきりしない。もしかしたら毎年やらなければならないかもしれない。薬の副作用の出やすい人の場合には前の年に予めやっておけばアレルギー反応が抑えられる効果があるので、選択肢の一つともいえる。
3.減感作療法が欧米のように普及しない要因とその打開策は?
 →アレルギー免疫療法は現在、唯一アレルギーを治療できる治療法とされている。欧米では花粉症について舌下免疫療法が主流になってきているとされています。日本では、まず、第一に、免疫療法をやるための抗原の標準化(ばらつきがないようにする)が遅れていて、一つだけスギの標準化抗原だけはある。次に、日本では免疫療法はなかなか評価されていなくてビジネスとしても副作用があるので成り立たなくなっている。ナフィラクシーショックがあるというので日本では普及していない。それと、喘息については吸入ステロイドという優れた薬ができたのでこちらが主流になっている。しかし、アレルギー学会としては抗原の標準化や点数制度を整備していく方向で動いていています。まずはスギの舌下の免疫療法で動いているという状況である。

基調講演W.新しいガイドラインに沿った喘息治療法
―大田健先生(帝京大学医学部内科学教授)
 @ ぜんそくの定義      ぜんそくによる死亡数   治療の目標
  @.可逆性の気道閉塞   2004・・3283  ・健常人と変わらぬ日常
  A.気道の過敏性     2005・・3198   生活が送れること
  B.慢性の気道炎症    2006・・2778  ・正常な発育が得られること
Aはじめに
 ぜんそくは、発作性の喘鳴、呼吸困難(息苦しさ)などの症状を特徴とし、場合によっては死につながる程の重い発作を起こす可能性がある。近年の医学の進歩により、ぜんそくは気道に炎症のあることが明らかとなり、炎症を治療することが重視されるようになった。
ぜんそくの患者は、成人で3〜4%、小児で6〜7%と言われるくらい多いが、必ずしもぜんそくを専門にする医師が診療にあたっていない。蓄積されたデータと専門家の意見を集約して、良いと考えられる治療を纏めたものがガイドラインである。日本アレルギー学会で作成されたガイドラインにそったぜんそくの治療を紹介する。
治療には、@発作に対しておこなう治療と、A良い状態を維持するために継続的に行う長期管理と呼ばれる治療、があるが、患者自身の理解と協力に依存する長期管理について述べる。
Bぜんそくの段階的治療
 長期的管理では、ぜんそくの状態を4段階に分け、患者ごとに当てはまる状態(重症度)で推奨される治療を選択し実行する。
 4段階の内容は、ステップ1が(軽症)間欠型で症状が毎日はない状態、ステップ2が軽症持続型で症状が毎日ではないが毎週ある状態、ステップ3が中等症持続型で生活に支障はないが症状が毎日ある状態、ステップ4が重症持続型で症状が毎日で生活に支障をきたしている状態である。そして、実行している治療で効果が不十分であれば、治療の強化(ステップアップ)、十分な効果が3ヶ月以上持続すれば治療の軽減(ステップダウン)を実行する。
C長期管理薬
 喘息の長期管理においては、喘息の症状に対する薬とともに、病気の背景にある炎症を鎮めるための薬が投与される。
 @.吸入ステロイド薬
   A 炎症を抑える効果が最も強力な薬で、吸入で使用するので副作用は最小限で安全性の高い薬剤である。
B 6歳以上の小児および成人のぜんそくにおける長期管理で中心をなす薬である。
    とくに成人では吸入ステロイド薬がステップ1からステップ4に至る各ステップで推奨される。
C 小児でも年長児(6〜15歳)ではステップ2から、乳児(2歳未満)および幼児(2〜5歳)ではステップ3からステップ4までで基本治療として位置づけられる。また幼児ではステップ2で考慮となっている。ドライパウダーのフルチカゾン(FP)とブデソニド(BUD)、代替フロンのHFAを用いたBFD、FP、シクロセニド(CIC)が使われている。
 A.その他の治療薬
   除放性テオフィリン薬は長期管理に有効で、吸入ステロイド薬との併用は、吸入ステロド薬を倍量にするのと同等もしくはより優れた効果を表す。
  長期間作用性β2刺激薬には、吸入薬、貼付薬、経口薬があり、其々について有効性が示されている。また吸入ステロイド薬との併用では、吸入ステロイド薬を単独で倍量にするより優れた効果を示しており、FRでは長時間作用性β2刺激薬で吸入薬のサルメテロールとの配合剤がある。
   抗アレルギー薬には、多種類があるが、ステップ1から4まで推奨されるのがロイコトリエン受容体拮抗薬で、アレルギーの関与の有無に関係なく用いられる。吸入ステロイド薬との併用は、ステロイドの減量効果を示すことや、低容量あるいは高容量の吸入ステロイド薬で不安定な状態を安定化させることが期待される。

質問およびそれに対する回答
1.小児喘息について、吸入ステロイド薬の使用の是非、安全性、吸入行為は自分でできるか、喘息は治るのか?
  →、吸入ステロイド薬の使用は広まってきてはいるが、日本ではまだ歴史が浅い。ただ吸入ステロイド薬そのものは20年以上の歴史の中で使われてきております。特に副作用についてはしっかりとしたデータの蓄積がありますが、小児については特に成長とのかかわりが重視されて、副作用が短期的には成長に影響があったということが発表されたときにはびっくりしたが、結局、長い期間のフォローアップによって長期的には成長して大人になったときには普通の人と同じような成長を回復していたことが明らかになったとされている。小学校から成人に成長して行く過程において有効な必要な量を選んで使っていくことで対応することになる。安全性という点からは、例えば、重症度のより高いレベルではステロイドの使用量も高いが、3つのレベル(低容量,中容量、高容量)について、高量度に使わなければならない場合があるのだが、この場合には成長に対する抑制効果あるのではないかということが慎重に調べなければならないが、一般的な統計としては薬剤の最高量を使っても現在では安全度はきわめて高いとされている。局所的な影響についても、血が薄くなったり、色素の沈着あるいは逆に白くなったり、などということが懸念されたが、これについても、長年の蓄積されたデータによって、返って、気道がきれいな状態になっているということが証明されている。基本的には、吸入ステロイド薬の安全性に関しては、専門医のもとできちんとした量を使うことで、使わないよりは使うほうが良いということが証明されている。
 →吸入行為として現在イゲソリドという薬剤があるが、ネブライザー液をつかって赤ちゃんにでもそれを使うことができる。もう一つの工夫としてはスペーサーという器具を使う方法でそれにエアゾルをかけておいてそれを吸わせるという方法である。吸入行為は5歳を超えると自分でもできるし、その前の段階では周りの人の補助によって吸入を開始できるといえる。それから、吸入ステロイド薬の普及によって、幼児の頃から吸入ステロイド薬による治療を開始しこれを積極的に進めたときに実際に注意率(?)が高まるかということが現在研究されている。
 →一般に小児喘息の5、6〜7割は成長により完快(無症状・無治療)になるという結果と、そうではなく自然経過の中では治らないという研究結果も出ている。しかし、一般に小児が爾後完快になる場合はより軽症である場合について当てはまるということがいえる。
 →成人喘息についても同じことが言える。成人についても1割弱の人は軽症であった場合は25年後には無症状になり、気道の過敏性も消えているという結果がでている。軽くて完快しやすいタイプに属さない人たちは早くから吸入ステロイドを使うことによって前者のグループに入ってくるというよい結果がでている。
司会者(河野) 従って、ステロイドは副作用のない薬ではないが、その使用はトータルとして悪い結果よりも良い結果の方が出ているということがいえる。
2. ステロイドの使用を中止してよいか
喘息は慢性の気道炎症であるから、調子が良い場合でも、ステロイドを停止するかどうかは医師と相談の上で決めたほうが良い。医師の評価を受けることが必要で、受診は続けた方がよい。
3. 測定結果と症状の発症が食い違うことがあると聞くが、アレルギー血液検査は信用できるか?
アレルギーの血液検査はある異物に対してIgEの抗体が作られているかを調べるもの。IgEがあるかないかの検査結果がでてくる。もう一つ重要なのは病気というものは抗体があっても喘息にかかっているとは限らない。ある研究によると、ある医学生のダニに対する抗体を調べて行くとどんどん殖えていって90%ぐらい陽性の抗体反応があったとしても、だからといってその全てが喘息になるわけではなく、その中の多くとも1割ぐらいが喘息になるに留まっているとされる。結局、アレルギー疾患は抗体があるとともに発症する病気によって、例えば、喘息では、気管支、気道、そして肺、それらが喘息を発症するための状況にあるということで、たとえば気道が敏感になっている、そういう素因があるということで、発祥すると考えられる。勿論、抗体は重要な因子としては考えられるが、陽性だから病気になるというようにはつながらない。
いくつかのデーターに加わって陽性ということが因子としてとらえられる。
その他の質問
1. 顔にステロイドを使うことは避けるべき
2. 毎年11月頃に口の周りに湿疹ができ、知らぬ間に消えてゆく症状は?
(飯島)学生の場合はレポート提出、社会人の場合は監査の時期など、ストレスのせいではないか。眼と口の周りが一番掻き易い場所、アレルギーでは決してなく、ストレスか嗜癖的掻破行動のケースが考えられる。
(増山)どこに住んでいるかにもよるが時期的に花粉症の可能性は低いと思う。
3. 数年前から果物を食べると口の中がはれたり、痒くなるのだがその原因は?
(向山)多分,口腔アレルギー症候群ではないか、アレルギーの一つの症状で、花粉症ともつながっていることがある。痒い場合は患部に抗アレルギー薬を塗るとか、果物を特定できる場合にはしばらくそれを避けるのが良い。
(増山)北海道では春先に飛ぶシラカバの花粉症との関係で口腔アレルギー症候群が問題となっている。スギ花粉症でも少ないが報告されている。
4. 喘息患者について咳も出ないし、痰が出ないので薬を止めてもいいか?
(大田)吸入ステロイド薬はむしろ増やすべき。症状があるときに薬の減量は絶対にできない。

感想
            
講演会は第1部基調演説と第2部パネルディスカッションから構成されていたが纏めの都合上各演者ごと末尾に記載した。後者のパネルディスカッションはその意味するところ(ある問題について対立する意見を持つ数人が聴衆の前で討論を進め、後に聴衆の参加を求めるという討議法=大辞泉)とは異なり、予め出席者から出された質問の中から主催者側が選んだものに意見を異にしない演者が答えるというのが実態であった。因みに昨年の講演会も同じで、当日の講演会を聴取した出席者から結果として起こる疑問・質問には答えないことが前提になっており、会場を去るにあたり、聴衆の一人としてやり場のない不満が残り、忸怩たる思いで帰途についた。

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