2006年10月23日

長屋宏先生講演議事録

標記の講演は盛況のうちに行なわれました。以下に議事録を記します。アレルギー医療改革に皆様のご支援後協力を衷心よりお願い申し上げます。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・長屋宏先生講演議事録

日時      平成18年9月28日 午後7時〜8時45分
場所      四谷区民センター11階集会室2・3(新宿区内藤町87)
議事録作成者  as

1.アレルギー理論の淵源 
 アレルギーは最近でこそ花粉症などとしていろいろ問題になっていますが、人間の病気としては比較的最近に認知された病気です。物の本によれば1600年代が最初という説もありますが、実際には1800年代、花粉症のはしりとして医学論文が医学雑誌に現れたのは1819年J.Bostock(ロンドンの医師)によるものが最初です。『目と胸の周期性のやまい』(Case of periodical affection of the eyes and chest)という題名で自分自身の症状についての論文が発表された。当時はこのやまいの原因が花粉によるものとは結びつかなかったが、1870年代後半になって、このやまいが花粉症であることが知られるようになった。当時、顕微鏡の発明と共に色々な細菌の存在が確認され、いろいろな病気が細菌によって起こることが分かり、例えば1883年にジフテリア菌が発見され、1888年にフランスのパスツール研究所でジフテリア菌を培養し、無毒にしたジフテリア菌の毒素を注射することによってジフテリアに対する予防が可能だということが分かった。それ以来、ジフテリア、百日咳等、いろいろな病気が病原菌さえ見つかれば予防注射によって病気が起こらないということが知られるようになった。このような時代を背景に、当時、ロンドンのセントメリー病院の予防注射科でNoonという医師が、当時は花粉症とは言っていないが、hay feverと呼んでいた症状につき、その原因が花粉のなかに毒素が含まれていて、可能性として、その毒素のためにその症状が起きているのではないかと考えた。もしそうであれば、病原菌に対する予防注射と同じように、花粉の毒素を取り出してその毒素に対して予防注射をすれば花粉症らしき症状も治せるのではないかと考えた。しかし、その毒素があるとしてそれをどうやって取り出すかの方法もわからなかったが、花粉の中に毒素があると仮定して、花粉のエキス(抽出液)を作り、その原液を10倍、100倍、1000倍、10,000倍、100,000倍、と薄めることによって、その希釈液を、薄い順に、徐々に増量しながら、注射局所に反応がないことを確かめて、例えば0,03、0,05、0,07、0,10、0,20、0,30ccずつ注射していくことによって体がそれに対応して徐々に濃くなる毒素に慣れて抵抗力(resistance)をつけていくと考えた。このような注射を続けることによって多々起きることは注射後腫れるとか痒くなるなどの症状がでるので、その時は量を進めないで同じ量を再度注射するという方法を繰り返していって、最終的には最高濃度に到達することによって理論的にはそのエキスの中に入っているかもし知れない毒素に対する免疫もできると考えた。それが今日行われている減感作療法のはじまりで基本的には現在我々がやっている減感作療法と同じです。ただ、実際には花粉の中に毒素が入っているわけではなく花粉のエキスのなかにアレルギーを起こす、その植物の蛋白質が入っているのであります。この反応をNoonは花粉の毒素に対する『原因不明な過敏性』(idiosyncrasy)と定義して、毒素に対して免疫をつくることによって症状を抑えることが出来るという考えを発表した。
2.呼び名の変遷 
 Noonはこの注射を予防注射(Prophylactic innorculation)と呼んだ(1911)。彼は結核を患っていてその後2・3年で死去したが、彼の友人のFreemanがこれを受け継いで、予防注射についてVaccinationという言葉を使った(1914)。その後、1910年代後半にはこの動きが米国にも伝わり、Coocke RJははじめは『脱感作』(Desensitization)、その後、1922にはHyposensitizationという言葉を使った。これが現在使われている『減感作』という言葉の最初であった。更に、1968年に至り、ジョンズホプキンズ大学のNorman P.S.は免疫療法(Inmunotherapy)と呼んだ。また、1997年1月にスイスのジュネーヴで世界保健機構(WHO)の‘アレルギーの治療に関する会議’があり、『アレルギー免疫療法』(Allergen immunotherapy)という言葉が使われ、エキスについてもワクチンと言れるようになった。
 日本で最初に減感作治療が行われたのは1958年で、それ以来、当時の治療法が殆ど改良されずに今日までそのまま行われている。呼び名まで古く、名にふさわしい、幼稚なママゴトのような治療が現在でも行われているのが実態です。
3.アレルギー反応とその原因の探求
 そもそもアレルギーとは何かということについて、語源はギリシャ語でAllos(違う)とErgon(エネルギー・反応)=違った反応、=つまり、‘普通の人とは違った反応をする’ということであります.。
嘗て、なぜ違った反応をするのかが分からなかっ時代を経て、1921年に、ドイツでクュスナー(魚にアレルギーがある)とプラウスニッツ(魚にアレルギーがない)という二人がこの違った反応を起こす何かが人の血液の中にあるのではないかと考え、ある実験をした。クュスナーの血清をプラウスニッツの皮膚の表面に注射し24時間後にその注射した箇所に魚のエキスを注射したところアレルギー反応ができた。このことはアレルギーのある人の血清のなかにアレルギー反応を起こす異常な物質があるという一つの証拠になった。しかし、それが何であるかはその後40年以上にわたりわからなかった。
4.免疫グロブリンIgEの発見とその働き
@免疫学は1950年以降急速に進歩したが、1966年に至り、石坂公成博士が当時知られていた免疫抗体IgG、IgA、IgM、IgDに加えて、免疫グロブリンE(IgE)というアレルギー反応をおこす新しい抗体を発見した。IgEの量は免疫抗体の中で一番多いIgGの10万分の1しかなく当初はその存在を疑問視する動きもあったが、1967年にスエーデンで免疫グロブリンEをつくる多発性骨髄腫が発見されてその存在が確認された。
以上から、IgEはアレルギーを起こす原因であるということがわかり、アレルギーになり易い人はIgEという抗体を遺伝的にもつくり易い体質を持っているということが言える。       
Aところが、スエーデンで多発性骨髄腫を研究していた研究者達がたまたまアフリカで回虫に感染している子供たちの血液中に通常の人の30倍ものIgEがあることを発見した。このことから、寄生虫に感染している人の場合にもIgEが寄生虫から身体を守る働きをしているのではないかと考えられた。この考えは今でも正しい。寄生虫が入ってくる身体の場所は身体の外表(皮膚、鼻の粘膜、呼吸気道、胃・腸など)ですから、IgEは寄生虫から身体を守る働きをするためにこれらの近くに分布しています。これらの外表近くにマスト細胞があり、其の細胞膜の外側にIgEが着いていて寄生虫を待ち構えている。マスト細胞の中には顆粒があって、そのなかにはヒスタミンその他のいろいろな化学物質が入っている。寄生虫が身体の外表を通って中に入ってくると、待ち構えていたIgEは寄生虫と反応してマスト細胞内の顆粒を放出する。放出された化学物質のうち、ヒスタミンは神経を刺激して痒みを惹き起こし、また血管を広げて血液の中の水分を血管からもれ易くする。そして血液中の白血球も出易くする。この白血球が侵入してきた寄生虫をやっつけるという仕組みだと考えられています。この仕組みは寄生虫を防御するためには有効であります。
Bアレルギー反応はアレルギー体質の人にとって、花粉その他が呼吸気道に達してそれらのたんぱく質が粘膜に吸収されると、吸収された花粉のたんぱく質がIgEと反応すると寄生虫侵入のときと同じようなことがおこり、すなわち顆粒が外に押し出されてその中からヒスタミンなどの化学物質が出てこのヒスタミンが粘膜にある神経を刺激して痒みを起こしたり、そこにある粘液腺の粘液分泌を亢進させる、したがって鼻水が出たり、血管を膨張させ、その結果、血液中の水分がもれ出てそこにたまればそこが腫れるので鼻づまりをおこすという花粉症の症状となる。同じようなことが気管支についても起こる。気管支に花粉やダニが付着すれば、ヒスタミンが出てその結果、粘膜から水分が出ればそれは痰になるし、粘膜を腫れさせるので空気の通りを悪くさせる結果、呼吸するたびにゼイゼイという喘鳴音が出たり、呼吸が苦しくなって典型的な喘息症状を起こすことになる。
5.減感作注射によるアレルギー症状の抑制の理論
@1970年代まで
 減感作治療注射をする結果として、あらかじめ注射を受けた結果、もう一つの免疫グロブリン(IgG)ができて、この抗体は普段から血管から出て粘膜の組織をパトロールしている。もしも花粉を吸い込んで花粉のたんぱく質が粘膜から吸収されたときに、花粉のたんぱく質がマスト細胞のIgEと反応する前にIgGが結びついてIgEと反応することを妨害するのでヒスタミンを含んだ顆粒を出せというメッセージが出ない。そのためマスト細胞に変化が起きないため、アレルギー症状も喘息症状も起きないと考えられていた。これは現在でも理論として間違いではないが、今では更に進んだ説明が可能になっている。
A現在の理論
 そこで、何ゆえにIgEなるものがアレルギーを惹き起こし人間を苦しめているかというとについてでありますが、1996年から言われていることですが、いまだに、IgEは寄生虫から身体を守るためのものであるはずのものが、どういうわけか花粉なりダニなりを寄生虫と誤認して反応してしまうと考えられている。実際には、アレルギーにならない人がアレルギーにならないのは誤認することを防ぐ細胞があるからと考えられています。〔後述の質問3への回答中のTR細胞〕
6.国際会議(WHO)によって減感作療法はアレルギー症状を抑える唯一の根本治療と認められた
1997年ジュネーヴで開かれたWHOの国際会議では、減感作療法は完全に避けることができない花粉やダニに因るアレルギーを治す唯一の根本治療法であり、これに対して薬は、どんなに良く効く副腎皮質ホルモンのような薬でも身体から代謝されて出てしまえばその効き目はその時点でとまり、病状は良くなることはなく漸次悪化の一途を辿ることになるということが確認された。この会議には、日本からも、東大の伊藤孝治、熊本大の石川哮、両先生が出席した。しかし、日本ではその後も減感作療法は無視されて今日に至っている。
7.アレルギーの原因となる個々のアレルゲンを発見するには血液テストよりも皮膚テストがより有効且正確
@アレルギーの治療のために何が一番大事かということですが、結局何がそのアレルギー症状を起こしているかということです。それを見つけるためにはテストが必要です。1966年に、石坂先生が血液中にIgEという抗体があることを発見したことにより、例えばIgEはスギならスギ、ダニならダニに対して別々に血液から見つけることが出来ることになりましたが、後述(B)の理由により、実際には皮膚に直接テストする方がはるかに感度が高いと言うことがいえます。血液テストについては感度が低いので血液テストだけでアレルギーがあるとかないとか判断していると見逃す可能性がある。一番見逃し易いのがアレルギーになりたての人です。
A最近は喘息で死ぬ人は減っていると言われていたがこのところまた増えてきている。特に子供が喘息になる率は20年前の倍になっている。喘息の治療は最新の減感作療法によって可能であります。日本の減感作療法は1958年当時から進歩していません。従って、日本は少なくとも減感作治療に関しては劣等国であります。
BそもそもIgEは身体のどこで一番作られるかというと、扁桃腺とアデノイドであります。昔は良くないものとして切除していましたが、免疫学の進歩とともに扁桃腺とアデノイドは免疫をつけるための細胞が発達するところだということが判りとらないほうがいいということで、以後切除しなくなった。IgEの本来の目的-寄生虫から身体を守ること-からして身体の表面に近いところ、例えば皮膚のすぐ下とか呼吸器の粘膜の下のマスト細胞についている。生まれた子供のIgE抗体についてですが、IgG抗体は胎盤を通過できるので母親の免疫力が生まれた子供にも半年ぐらいは続くというのはこのためです。その後は自分で作らなければならなくなる。IgEという抗体は分子量が大きく胎盤を通らない。したがって赤子のIgEは赤子自身が作ることになる。2・3歳の子供でも喘息になるケースもあるが、この場合、花粉症というよりは家の中のホコリを吸っていることが原因でアレルギーになる。いずれにしても、IgEをつくり始めは皮膚の表面に近いマスト細胞の表面に着くので、血液の中にはぜんぜんたまってこない。何年か経ってその人の身体のマスト細胞の全部についてから、余分なIgEが血液の中にたまってくる訳です。それが何年かして血液中に十分な量がたまらないと血液検査しても反応が出ない。従って皮膚テストで明らかにダニにアレルギーがある人も血液テストで反応が出ない人はいくらでもいる。
8.日本のアレルギー医療体制の問題点
@日本のアレルギーの医師は皮膚テストをやらない。検査機関での血液テストの結果だけではアレルギーの原因アレルゲンを見逃す結果となっていると言わざるを得ない。もっとも困るのはその皮膚テスト用の液を日本では作っていないという点です。アレルギー学会が製薬会社にテスト用・治療用のエキスが必要なことを教えればいいわけですが、それもしない。実際に私が日本に帰ってきて、患者さんと接して殆どの人が血液テストはしても皮膚テストはしていないことを知って唖然としたのを記憶しています。さらに、日本にはテスト用(12種類)・治療用(4種類)ともに液が少なく、せっかくテストしてアレルゲンが確認できても治療液は現在ある4種類以外の場合治療できない。テスト代だけ払わされて治療してはもらえないというのが日本の現状です。この現状について、日本のアレルギー学会、アレルギーの教授、アレルギーの指導者、アレルギーの医者、だれも不思議にもなんとも思わないし、患者さんたちが困っていても自分たちには関係ないといった態度であります。特に治療用のダニエキスがないので、もし、ダニに反応が出た場合は厚生労働省公認のハウダストが使われている。ハウスダストにはダニが含まれていることが前提とされていますが、ダニが含まれていないハウスダストもあり、そのためにいくら注射しても効かないから減感作療法は効果ないと結論づけているのは不合理というべきです。50年前ならばこういうことも通用したが、1968年以降は日本の家のハウスダストの中味はダニだということはわかっています。
A日本以外の外国ではダニを純粋に培養し、単に培養するだけでなくて其の中でどういうたんぱく質がアレルギーを起こすうえで重要かということが判っていますから、それを取り出してそれがどれだけ入っているかということも含めて、いわゆる標準化-どれだけ有効か-ということを示す必要がある。日本のアレルギーの医者は50年前に始めたそのままのかたちで減感作治療を行って効かない効かないといっている。ダニが入っているかいないかもわからないハウスダストを使っているので減感作療法をやってもしょうがないと言っている。50年前のことを今でも世界中でやていると思っている。そのためにアップデートされた減感作療法を日本ではやらない。そのためにこの治療法が日本に普及しないのです。それは日本のアレルギーの指導者たちが海外の進取の医療技術に眼をつぶってWHOも認める唯一の根本治療法を推進しようとしないからです。結局、日本のアレルギーの専門医は減感作療法は効かないからという陳腐な固定観念にとらわれているのでやらない。そして他のアレルギー専門医でない医者と同じように薬の処方だけやっている。
Bもう一つ重要なことは花粉のエキスです。日本にはテスト用が12種類しかない。これに対し、(日本で厚労省の許可を得て)日本アレルギー協会を通して入手可能な、米国政府食品・薬品局が承認した米国製の花粉だけでもテスト用・治療用ともに64種類の液があり、これらは日本においてもすべて厚生労働省の許可をとって入手可能ですから、本当にやる気があるなら、日本でも米国並みの減感作療法ができるのです。
米国から取り寄せた65種類のエキスでテストした結果、反応が上から多い順に20位までを示したなかで、一番多いのはダニですが、ダニは2種類あri
日本ではそのうちの一つであるコナヒョウヒダニのエキスはあるが標準化されておらず、ただすり潰しただけでアレルギーを起こすのに重要なたんぱく質がはいっているとかどの程度の反応が起きるかのチェックもしていないエキスが厚労省によって承認されている。ないよりはいいとはいえるが。
C実際に、外来にみえた患者さんの中から無作為に100人選んだうち93人はダニにアレルギーがある。陽性の頻度の高い順に上位20位までのうち上位10位のなかでダニとカモガヤ以外にテストの液がないだけでなく、ダニとカモガヤを含めて治療液がまったくない。スギ花粉にアレルギーのある人の90%はカモガヤにもアレルギーがある。11位から20位までについてはテストできるのは、ヨモギとブタクサとオオアワガエリの3種類しかなく、そのうち治療液があって治療できるのはブタクサだけであります。ヒノキとかイネ科の草に反応を示す人は日本人の中に多いのに日本ではイネ科やヒノキの治療液はまったく作っていない。
D木の花粉も含めてこれらイネ科の花粉は同じ時期に飛び回っていますから、スギにアレルギーがあるからということでスギだけのエキスを注射しても、ヒノキとかそれ以外の木の花粉やイネ科にアレルギーがあると、患者の症状はちっとも良くならないということになる。このような状況の中で不勉強なアレルギーの医師たちは減感作療法は効かないといっているのはけしからんという他ないというべきです。
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質問1 今日の新聞によると、若い喘息患者は最近増えているとのことですが、大気汚染などは昔に比べれば改善してるので喘息が増えているのは室内のダニの問題で増えているのか、あるいは食物など他の何かが原因なのか先生のお考えを伺いたい。
 病院で18歳以下の子供が喘息にかかっているとレントゲンを保健所に持っていき証明書を出せば医療費がただになるというのがある。大気汚染はいいわけないですが、医療費をただにするというような仕事を政治家がしているように見える。公害地域の人がすべて喘息になるわけではない。実際に公害喘息といわれる子供のアレルギーの本当の原因はダニアレルギーであります。公害そのものが喘息を起こしているのではなく、ダニが原因で喘息になっています。ところが日本にはダニの治療液がなく、治療するセンスのある医者もいない。ただなんとなくお金を出して自分たちの行き届かないところはうやむやにしている。たとえば、タバコを吸っている人すべてが喘息になるわけではない。喘息になる人の多くはアレルギーがあるからです。それと同様に公害を吸っている人すべてが喘息になるわけでなく、喘息になるのはアレルギーがある人だからです。そしてそのすべてがダニにアレルギーがあると言っても過言ではありません。日本でアレルゲンエキスを作っている唯一の会社はなぜダニエキスを作らないのか聞いた処、何億もかかるうえに作ってもだれも買って使わないと言っている。これにつき誰が悪いかといえば、日本のアレルギー学会がそういうもの使って治療すれば治るということを言わないからです。そういうことを教えないのです。あまり永い間教えなかったので教える人もいない。大学の先生も、アレルギー専門医という看板を掲げていてもやっていることはただ処方箋を書いているだけというのが実態です。この実態を学会でもアレルギーの擁護になると称しております。それで、今、私は『日本のアレルギー診療は50年遅れている』という本を書いていますが、日本としてこんなに惨めなことはないのに誰も気がついていない。国立相模原病院の秋山先生は何億(?)もの国民の血税の予算を使って日本のアレルギー研究の最大の政策責任者です。我々の税金を一番沢山使っているのはこの相模原病院の臨床研究センターではなでしょうか。理研にお金をあげて立派な基礎研究をやっている。基礎研究も結構ですが、何故に今すぐに人々の役に立つことをしないのか。(昨年10月に久我山アレルギー患者の会から代表者2名が減感作療法の普及を訴えて陳情したが体よく断られた。)喘息の原因は100%ダニアレルギーといって間違いない。ダニで減感作をやったらみんな良くなります。アレルギー学会の機関誌に数年前にある症例発表があった。子供が3年間に3回死にそうな発作を起こした症例を治療法の手本として掲載している。排便時に発作を起こるのを防ぐのは抗コリン剤(アセチルコリンというのは副交感神経を刺激するもの)、排便する時は腸を収縮することですから、腸を収縮するということは副交感神経の緊張が高まるということで、副交感神経の緊張が高まるということは気管支も収縮するので、発作が起こる結果になっている。この子供は5ヶ月間の入院中、排便の都度に病院のスタッフが付き添って、抗コリン剤の吸入(これは副交感神経の抑制剤で慢性気管支炎とか肺気腫の人に使われてはいる)させることによって、意識をなくすような発作を防いだとしているが、実際には治っていないのです。この子供は血液テストでヤケヒョウヒダニに重度のアレルギーがあるとされていますが、この症例を書いている人は日本小児アレルギー学会の理事長です。ダニにアレルギーがあると判っていて、減感作のことも、少なくともそれを避けるべきことも書いていない。あくまでも抗コリン剤を使って少なくとも致死的な発作から救った手柄話のように書いている。これは手柄話というよりまさに無知のさらけ出しと言っていいと思います。アレルギー学会も編集長も救いようもないといった状況です。皆さんに少しでも政治的力があったら何とかしてもらいたいです。あまりにも勉強しなさすぎる。外国のことを。これだけ-最新の正しい減感作療法-をやればどれだけ多くの子供たち、また大人の喘息患者を救えるか計り知れないと思います。アメリカでは普通にやっていることを日本では誰も知らない。私が声を大にして言ってもみんな知らん顔しているのが現実です。日本で減感作療法をやったことのある人は私のように年をとって昔減感作療法をやって効かなかったという経験だけが頭に残っていて、あんなものをやってもしょうがないと二言目には言う。私の言うことが信じられないのなら、実際に自分の患者にダニを使ってやってみてはと言っています。自分の患者がいかによくなるかがわかってもらえると思います。でも誰もやろうとしないのです。だからそれほど薬屋さんに興味があるのかなと言えます。やってみればこんなに効くものか、ということがわかります。減感作治療をやっていれば、小児喘息で学校を休むなどあり得ないし、入院するとか、ましてや死ぬなど考えられません。現実には小児喘息を含めて毎年何千人も喘息で死んでいます。あまりにも日本のアレルギー診療の不甲斐なさを感じます。佐藤氏や広瀬氏が陳情に行っても適当にあしらわれ、学会も厚労省も新聞社も相手にしてくれない。一時期、私のところにも取材にきて、1年に3回もTVに出たこともありますが、それは一時的なお祭りのような取材の仕方で広まるどころかそれっきりで終わっている。本日は私の言いたいことの十分の一も言えませんでしたので、私の本が出版されたらお読み戴ければ私が何を言いたいのか判っていただけることを期待いたしております。どうも御静聴有難うございました。
質問2 患者から一言
 私は子供と共に先生のお世話になっている者ですが、私は子供のころから長年、喘息の発作に悩まされておりました。子供のころの記憶としては喘息の記憶しかないぐらいひどかったのです。大人になってからも治らなくて入院も長くしましたが、1993年になって先生の治療を受け、一ヶ月で治りました。ほんの一ヶ月です。夢みたいでした。それ以降、13年間先生のお世話になっています。其の間、一回も発作が起きていないのです。それほど先生の減感作療法は効くのです。逆に先生にお目にかかってこの治療を受けなかったら、今頃死んでたかもしれない。まさに先生は私にとって命の恩人でございまして感謝の言葉もないくらいです。私の息子-小学校5年生-は喘息ではないですが、ちょっとアレルギーがあり、鼻水が出るとか、皮膚のアレルギーでした。昨年、先生のお世話になって半年、一年で鼻水がでなくなり、皮膚も良くなりました。これらの原因は花粉症かとまわりから言われていましたが、実はダニが原因でこういう症状が出るのではないかと私は思っています。ここにおられる先生の患者さんはみなそうだと思うんですが、先生には一年でも長く頑張っていただきたいと、心底から思っています。同時に、私たちのやるべき行動の論点が二つあると思います。一つは、製薬会社によるダニ、ダニを中心としたアレルゲンの開発、厚労省による認可、これを何とかしてもらうこと。もう一つは、減感作療法を一人でも多くのお医者さんに普及していただくこと。それを何とか、佐藤さん、広瀬さんと協力しながらやっていきたいと考えています。先生には一日も長く治療を続けて戴くことを祈念すると共に、我々も力を尽くして行きたい思いますのでよろしくお願いいたします。
質問3 一度治っても治療を続けるのが必要か、それとも、治って終わったらもう何もしないでいいのか。それと遺伝的な要素があるのか、その辺をお伺いします。
 最近、わかったことですが、アレルギー体質に対して正常な体質の人はアレルギー反応を監視してそれをおさえる細胞が十分にあるということがいえます。TR細胞(regulatory T-cell)といっています。アレルギー体質の人にはこの細胞が十分でないためアレルギー反応が起きやすいということになります。減感作療法はこの細胞を増やすのに役立っています。
1970年代までは、IgGという阻止抗体(blocking antibody)が最も大事だと考えられていました。この考え方は賞味期限を持ったたんぱく質であるIgGが身体を守るのですから、その賞味期限と共にIgGも期限を持つと言うことになる。しかし、たとえばハシカに一度かかると二度と麻疹にはかからない。これはハシカのウィルスが身体からなくなった訳ではない。身体に潜伏していて常に身体の免疫性を刺激している。同じように生きているヴィールスで予防注射した場合にはそのヴィールスが一生身体の中に生きているので免疫力が保たれて、二度とハシカにはかからないということになります。ところがジフテリアの毒素を注射しても免疫を維持するのはたんぱく質の抗体ですから、期限がくれば免疫力を失う。従って、アレルギー反応についてIgGだけが阻止力を担保しているならば期限の到来と共にそれを失うことになる。
ところが、ここ数年来、免疫反応を監視する細胞(TR細胞)があるということが分かり、ことに減感作療法をやることによってそういう細胞が増えて来ることが分かった。アレルギー反応をコントロールするこの細胞が何年と言う単位で生きて、しかもそれは子孫を残すことも出来るし、たんぱく質とは違ってはるかに寿命が長い細胞と言われています。減感作注射により実際にアレルギーをコントロールする細胞が出来るという可能性が非常に強い。そして沢山注射をすればするほど其の細胞が増える。かなり長く注射を続けてやめた患者の中には10年、15年経っても平常生活をしている人が多くいることをアメリカでの経験からも言えます。
 遺伝については、その人のDNAによってどういうたんぱく質をその人の敵と看做すかで決まります。たとえば、昔、結核になる人で一番治りにくいのは結核菌に反応しない人でした。結局、結核菌を自分の敵と見なし得ない人はその見えない結核菌にやられてしまう。アレルギーの場合も、スギの花粉をアレルギーの原因と見えなければ、IgEも出来ない。アレルギーを起こさないようにする細胞が沢山増えるような遺伝子があればいいわけですが、しかし、いろいろなアレルギーを起こす原因や色々な感染をおこす原因も別ですから、そこまではゆかず、要は、アレルギー反応が行過ぎないように抑えてくれる細胞が増えるということが一番大事だと言えます。
以上

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